なぜここまでおデブに?!中国のシベリアトラたち
中国のトラ園にいる、おデブなシベリアトラたちがSNSで話題となっています。
ちょっと可愛らしいズングリムックリ程度ではありません。
「太り過ぎて危険なレベルだ」と警告するのは、クリス・ドレーパー氏。
イギリスのBorn Free Foundationで、動物愛護のアソシエイト・ディレクターを務めています。
China: Obese captive Siberian tigers are no joke Contrary to the tone of a photostory currently going viral on Chinese…
Posted by Environmental Investigation Agency on Tuesday, 7 February 2017
多くのメディアは可愛い、おもしろい、といった感じで写真を紹介していますが、事態はかなり深刻だ、とドレーパー氏は言います。
「おもしろい」が先行し、この写真の何が問題なのかと人々が考えるのは二の次です。
このシベリアトラたちは中国、ハルビンのシベリアトラ園にいます。
動物園が抱える問題点
一番の問題は、とにかくエサを与えられすぎていることです。
「ここまでエサが過剰な例は見たことがありません。」と語るドレーパー氏。
すぐに何か問題が起きるわけではありませんが、太れば太るほど動きは制限され、関節や四肢に負担がかかり、いずれ歩くことにも困難が生じます。
トラたちがお互いにじゃれ合うことにも支障が出て、人間と同じように生理機能にも問題が起きます。
CHINA | ANIMAIS DEMASIADO OBESOS NO JARDIM ZOOLÓGICO DE HARBIN ESTÃO A PREOCUPAR ASSOCIAÇÕES LOCAIS A existência de…
Posted by FARO ANIMAL on Thursday, 9 February 2017
情報によると、来場者たちがずいぶんエサを与えているようで、しかも、生きたニワトリを与える人もいるらしいです。
この施設が生きた動物を与えることを許可しているのなら、非常に残酷で倫理に反する行為です。
シベリアトラ園で実際に生きた動物がエサにされているという確証はありませんが、中国の様々な動物施設で行われているのは確かです。
来場者のためのショーのように行われているのです。
時として、そのエサはヤギや牛だったりもするのです。
さらにドレーパー氏はトラたちの生育環境にも問題があると言います。
写真からは何匹ものトラが同じ場所で生活していることが窺えます。
しかし、これはトラにとっては不自然な環境です。
トラは単独行動を好むタイプの動物です。
複数匹を一緒にさせていると、確実にトラたちのストレスとなってしまいます。
Posted by Yuqiong Zhou on Thursday, 9 February 2017
狭いところにたくさんトラを詰め込んでしまうと、運動する場所も少なくなります。
これも肥満をより悪化させる要因の一つです。
さらに、狩りをしてエサを捕る習慣がなくなれば、筋肉も衰えて脂肪ばかりが蓄えられてしまいます。
動物たちの飼育環境が劣悪な施設はこのシベリアトラ園だけではありません。
今年1月、中国のサーカスでトラがテーブルの上に縛られ、観客がトラの上に乗って写真を撮ることができるアトラクションの動画が出回りました。
また、中国の動物園ではサーカスのパフォーマーが、クマを乱暴にステージの上で引きずっているところが目撃されています。
しかし、これは中国だけの話ではないとドレーパー氏は言います。
ここまでひどくはないとしても、北米や欧州の動物園でも、おデブなネコやおデブな象はいます。
これは世界的な問題だと指摘しています。
The story of obese tigers at Siberian Tiger Park in China, where tourists pay to feed the animals for their…
Posted by World Animal Protection USA on Thursday, 9 February 2017
今回、SNSで話題になったことで、トラたちの飼育環境が改善されることを願ってやみません。
このような状況はもう終わらせ、エサの与え方、トラの習性についてアドバイスを得て、動物たちの飼育環境を良くしていかなければなりません。
そして、動物を見に来る来場者たちにも考えて欲しいです。
グロテスクとも言えるほど太ったトラたちを見る価値とはなんでしょうか?
これはエンターテイメントではなく、痛ましいものなのではないでしょうか。(thedodo)
人間の娯楽のために、習性とは違った状況に押し込められ、ひどい扱いを受けてしまっている動物たち。
SNSで拡散されたおデブなトラの写真をただ笑うだけではなく、受け手もその背景や問題を考える、思考の深さを求められているのかもしれません。