路上を彷徨っていた孤独なオオカミ犬、ソウルメイトに出会う!
動物管理保安官がシンダーを初めて捕まえた時、誰もがシンダーをオオカミだと思っていました。
痩せ気味の身体、粗い毛並み、丸い耳に琥珀の瞳などの身体的特徴から、確かにシンダーはオオカミのように見えます。

シンダーはアリゾナの町を数週間にわたってうろついていました。時には犬がいる家の庭まで行き、フェンス越しに犬と遊んだりもしていました。かなり痩せていたために、ある家族はシンダーのために餌を置いておいたほどです。しかし、誰もシンダーのことを捕まえたり、触ったりすることはできませんでした。
動物シェルターへ
やがてある日、誰かが動物管理保安官を呼び、罠を仕掛けました。シンダーを無事に捕まえた保安官は、動物シェルターへと連れて行きました。

シンダーは本当にオオカミのように見えたために、アリゾナ州の釣り・猟の部もこの件に関わりました。万が一シンダーがオオカミだった場合は、彼を野生に戻す責務があったからです。しかし、DNAサンプルによってシンダーは犬とオオカミのハーフであることがわかり、州はシンダーを野生に戻す責務は発生しないことが判明しました。
多くの州で犬とオオカミのハーフをペットとして飼うことは禁じられていますが、アリゾナではそれが可能です。それでも、シェルターの人々はシンダーの世話をすることは難しいと考えました。第一、シンダーが人間をひどく恐れていました。その上、このシェルターがもしシンダーを預かることができても、それは短期間のことに限られていたからです。

アリゾナ州の釣り・猟の部によってDNAが取られた後、シンダーはシェルターを抜け出しました。脱出はオオカミや犬がとても得意とすることです。
「ドアや門がちゃんと閉まっていなかった可能性があります」と野生オオカミ保護施設の部長補佐であるクリスタルは言います。
「シンダーのような動物は非常に知的で、小さなチャンスも逃さないのです。」

それでもシェルターのスタッフはシンダーの捕獲に成功。しかし彼らは良い解決策を早急に必要としていました。
野生オオカミ保護施設へ
そこで彼らがコンタクトを取ったのが野生オオカミ保護施設でした。ニュー・メキシコにあるオオカミやオオカミと犬のハーフを受け入れる施設です。幸運にも、施設はシンダーを受け入れることに同意し、シンダーはボランティアによって施設に運ばれました。

保護施設での最初の7ヶ月は、シンダーは一人ぼっちのおりに入れられていました。保護施設の人々は誰か彼にとって友達になれないかと探していましたが、人々の頭のなかにあったのは一匹のオオカミ犬でした。彼女はシンダーよりも年上の、オオカミと犬のハーフで、ライオットという名前でした。

ライオットはカリフォルニアに住む女性のもとで飼われていました。女性は繁殖目的にライオットを手に入れましたが、思った以上に大きく育ってしまったため、ライオットを飼うスペースがないという理由でこの施設に持ってきたのでした。
ライオットは始め、ドックと呼ばれる北極オオカミと一緒のおりに入れられていました。2匹の相性はかなり良かったのですが、ドックが他の北極オオカミと同じおりに入れられることになったために、ライオットはひとりになってしまったのです。また、施設の人々の誰もが、シンダーとライオットは素晴らしい友達になるだろう、と直感的に感じていました。
シンダーとライオットが初めて会う日、誰もが息をのんでその光景を見守りました。

「わたしたちはライオットを連れてシンダーの住処に行き、2匹のボディ・ランゲージを観察しました。すべてはうまくいっていました。ゲートを開けると、ライオットはシンダーのもとへと駆け寄り、それは素晴らしい光景でした。しっぽは喜びにあふれ、彼は彼女にとても興味津々で、彼女もまた彼に興味津々でした。彼らは鼻と鼻をくっつけて挨拶しました。彼らはわたしたちの計画をすべて把握しているように見えました。2匹の相性は最高でした」とクリスタルは語ります。

すぐにシンダーとライオットは大の仲良しになり、施設のスタッフは2匹をボーイフレンドとガールフレンドと呼ぶまでになりました。

近所の犬たちとの「フェンス越しの喧嘩」やぬいぐるみでの遊びなど、シンダーとライオットは何をするにも2匹で一緒にしたがり、いつも楽しそうです。まだシンダーは人間たちが周りにいると居心地が悪そうではありますが、首輪をつけての散歩を楽しんでいるようです。

でもやっぱり、ふたりが一番大好きな時間は、ふたりで一緒に過ごす時間のようです。

「わたしたちは動物たちに幸せでいっぱいの人生を歩んでもらいたいですし、一番ぴったりのパートナーを見つけてあげたいと考えています」とクリスタルは言います。「わたしたちの誰もが、自分の人生に特別な誰かを必要としていますから。」(thedodo)


保護され、その上素敵な友達までできたシンダー。2匹の姿はまるで本当に恋人のようです。素晴らしい施設に受け入れてもらえて、本当に良かったですね!