泣ける 2017-01-03

【感動!】アフガニスタンの戦場で結ばれた一人の兵士と犬の物語

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アメリカ軍所属の海兵隊員であるクレイグ・グロッシーさんがタリバンの兵士たちとの激しい戦闘状態に陥ったのは、クレイグさんの所属部隊がアフガニスタンのサンギン地区に到着してすぐのことでした。

「あの時は本当にひどい状況でね…あんな経験はみんな初めてだった。何日も攻撃が止まなくて、自分の身を守ることに必死だったよ

そんな極限状態が徐々に収まり、やっと周囲を見回す余裕ができた時です。

でっかい頭にちょこっとした足の犬が寝そべってたんだよ」

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犬を見ること自体は珍しいことではありません。ほとんどの場合は旅行者の持つキャリーバッグのなかにいるか、もしくは人間に対して攻撃的な野良犬か。しかし、この犬は違ったそうです。

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群れで行動している様子はなく、自分で小さな食べ物のかけらを見つけると茂みのなかで食べたり、眠ったり。その犬は事実上の海軍軍営地を行ったり来たりしている状況でしたが、軍隊には兵士が犬に接触することを禁じる規則がありました。

「それまでの僕はすこしだって規則に抵触することなんかなかったんだよ」

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しかし、クレイグさんがその規則に従えないことが分かるのはすぐのことでした。

「しばらく観察してみた結果、彼が誰かの飼い犬じゃないこと、地域の人たちとの積極的な関わりがないことが分かってね」

クレイグさんがビーフジャーキーのかけらを手に慎重に近づいていくと、その犬の体はとても汚れ、たくさんの虫がついていることが分かりましたが、それ以上に驚くことがありました。

めちゃくちゃしっぽを振ってたんだよ! もう吹き飛ばされそうなくらいの勢いでさ」

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元気がなさそうに見えたのは、独りぼっちで誰にも気にかけてもらえないことが理由だったようです。その犬が落ち着いた様子でクレイグさんの手からジャーキーを食べた後、クレイグさんはその犬の耳を掻いてやりました。

「自分でもそんなことするなんて驚いたけど、彼も喜んで受け入れているようだったよ。僕が立ち去ろうとすると、脚元を鼻で突いたりしてね。僕の後をついてきたんだ」

その様子を見た仲間のひとりが「友達(Friend)みたいに見えるぞ!」と叫んだ言葉を「”Fred”みたいに」と聞き間違えたところから、その犬の名前は”フレッド”に決まりました。

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クレイグさんとフレッドの壮大な物語はこのとき始まったばかりでしたが、クレイグさんはまだ知る由もありませんでした。

ふたりの友情

夜になるとクレイグさんと部隊は街を巡回しに行きます。タリバンの兵士たちが民家に潜伏し、民間人を“人間の盾”として利用する恐れがあったためです。

「僕たちが夜間に出て行こうとすると、フレッドがついて来るんだよ」

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兵士の何人かはフレッドが吠えてしまうことを心配しましたが、フレッドはとても大人しく、すこしも音を立てませんでした。

「僕は初めて見たときからフレッドのことが好きだったんだけど、そのころには部隊のみんながフレッドのことを認めはじめてたよ

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しかし別れの時が訪れます。
部隊はべつの地区に配属されることになったのです。

「出発の前日にフレッドのそばに腰掛けて言ったんだ。もし一緒に来たいなら、なにか合図をしてくれってさ」

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翌日、移動のためのヘリコプターが到着しました。ホバリングによって発生した砂埃を避けるためクレイグさんと仲間が身を寄せていると、脚元を突く鼻先に気がつきました。

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フレッドは心配そうな顔でそこにいたんだ。それを見た僕は“オーケイ、ほら行くぞ!”って言ってたよ」

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フレッドは部隊の荷物の間に紛れて飛び立ちました。

「もしも僕とフレッドが一緒にいるところが見つかれば刑務所行きだからね…でも彼は理由も聞かずに隠れててくれたよ」

彼らが基地に到着したとき、クレイグさんは仲間のピックアップトラックにフレッドをこっそりと載せました。そしてトラックのなかから大手配送業者DHLの看板を見つけたのです。

「僕らがサンギン地区にいる間にDHLの営業所ができてたんだ。最高のタイミングだったよ!」

クレイグさんはその夜営業所を訪ね、慎重に質問しました。

「“もしも、もしもだよ? ここに犬を連れてきて、アメリカに送りたいって人が来たら、どうなるかな?”って感じにさ。でも彼らは全部お見通しだったよ

DHLの職員は「とりあえずその犬を連れて来てください」とクレイグさんに伝え、クレイグさんはフレッドを連れていきました。そしてフレッドを一目見た職員たちはみんなフレッドの虜になったのです。

クレイグさんはすぐ戦場に戻らねばならず、フレッドをアメリカの両親の元に送る書類の手続きを終わらせることができませんでした。そのことを知ったDHLの職員たちはクレイグさんが戻るまでの間、フレッドの世話をすることを約束してくれたのです。

しかし、クレイグさんはすぐには戻って来れませんでした。

クレイグさんは戦場でロケット弾攻撃を受け、頭部に傷を負っていたのです。入院生活のあいだ、クレイグさんはずっとフレッドのことを考えていたそうです。

退院の日を迎えたクレイグさんは、すぐさまフレッドの待つDHLの営業所へ向かいました。

「フレッドの姿が見当たらなくて、あちこち見て回ってたんだ。そのとき職員のみんながサッカーをやっているところを見つけてね。フレッドはそのなかにいたんだよ。アフリカからアジアまで、世界中のあちこちから来た職員のみんなと一緒に走り回ってた。あれはとても素晴らしい光景だったよ」

クレイグさんは急いでフレッドの検査をしてくれる獣医を見つけると、必要な書類の準備を済ませました。アメリカへ行けるまであと一歩というところでしたが、まだ重要なものが不足していました。フレッドを運ぶためのキャリーボックスが見つからなかったのです。

クレイグさんが頭を悩ませていると、ひとりの兵士が話しかけました。

「フレッドのこと聞いたよ。なにか手助けがしたいんだけど…」

その兵士は軍用犬の世話係をしていたので、余っているキャリーボックスを提供するのは簡単なことでした。

無事JFK空港に到着したフレッドをクレイグさんの家族が迎えに行きました。

「他の人が送ったラグやカーペットなんかが載ってるベルトコンベアの流れに僕の汚れた犬もいたんだよ」とクレイグさんは語ります。

その3ヶ月後、ついにクレイグさんも帰国を果たしました。クレイグさんはしばらく政府の仕事に従事したあと大学に通い始め、そして夏になるとふたりはアメリカ国内を8週間かけて旅したそうです。東から西まで、多くの人々にふたりの物語を語りながら。

大学を卒業したクレイグさんは、フレッドとの物語を本にまとめる予定だそうです。戦火のなかで芽生えたふたりの友情がこれからもずっと続くよう、平和な世界の実現を祈るばかりですよね。

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