虐待で背骨破壊、そしてゴミ溜めでの生活…捨て犬ナンシーの奇跡の回復
ナンシーという犬がいました。ナンシーは、ごくごく普通のかわいらしい犬でした。しかし心無い誰かが彼女の背骨が破壊されるまで虐待したうえに、ゴミだめへと捨てたのです。
彼女がある保護施設に保護されたとき、彼女は前足で上半身を起こすのがやっとで下半身は自分で動かすこともできませんでした。そんな中、彼女はどんな処置にもじっと耐えました。

この時彼女はとてもひどい状態で、奇跡が起こらなければ助からない状態でした。ほんの少ししか助かる可能性はなかったのです。
そしてなんと、保護施設の医療チームが精密な検査をした結果、彼女は脊髄に損傷を負っていました。これを受け緊急手術が行われました。傷ついた体にも関わらず、ナンシーは長時間の手術に必死に耐えました。
手術は成功、2016年1月25日、ナンシーはスタッフに撫でられながら安静にしていましたが、少しだけ小刻みに震えているようでした。

その2日後、1月27日、いよいよリハビリが始まりました。 彼女が新しい家族に出会い、好きなだけ走り回り、幸せな一生を送るためには、少しでも早く回復させることが必要だったのです。 しかし、そう簡単にはいきませんでした。

この時ナンシーは、つっぱった全身を支えられながら、ゆっくりゆっくり歩くのがやっとでした。いや、歩いているというよりは操り人形のようでした。歩くだけなんて簡単だと思うかもしれませんが、彼女にとって一歩一歩が厳しい試練でした。
保護施設のスタッフは、いつも全力で彼女をサポートしました。
2月8日、ナンシーは下半身を支えられながらではありますが、なんとか走ることができるようになりました。

それに加えて、自分でケージから勢いよく飛び出ることもできるようになりました。 表情も生き生きとしていて、手術前の悲しい表情はあまり見られませんでした。
2月15日、ナンシーの筋力をつけるために、浮き具を付けて泳ぐ練習をすることになりました。 彼女は足が麻痺していたため、最初は力が入らない様子でした。それでも彼女はなお必死に、足を動かし続けました。

このリハビリは、彼女にとっても保護施設のスタッフにとっても1つの挑戦だったのです。
3月1日、この日はコーンを使って、わずか数cmではありますがハードルをまたぐ練習を行いました。 ナンシーは何度も引っかかりましたが、一生懸命歩き続けました。 また、ランニングマシーンを使って、支えられながら歩く練習も行いました。

リハビリとスタッフの丁寧なマッサージの甲斐もあり、彼女は水中でゆっくりと歩けるようになるまで回復しました。
そしてついに屋外での本格的なリハビリが始まりました。 『ナンシー!』とスタッフが呼ぶと、彼女はたった少しの支えだけで一目散にそこに向かって走り寄っていきました。
この時ナンシーは、後ろ足を引きずりながらではありますが、人間の支えなしで移動できるようになっていました。
そして保護施設のスタッフはついに、ナンシーにぴったりな車いすを買いました。 彼女はそれをとても気に入った様子で、ほかの犬と一緒に庭を走り回ってとても楽しんでいました。

そのうちナンシーは車いすのおかげで一つ一つの行動に慣れてきたのか、自力でしっかりと立てるようになり、ぎこちなくではありますが自分の四肢だけで力強く走れるようになったのです。
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これだけの回復を見せたナンシーは、私たちには到底分かりえないくらいの苦しみを経て、血のにじむような努力をしたことでしょう。ナンシーは現在、一生を共にしてくれる優しく素敵な家庭を待っています。早く愛する家族ができるように心から願っています。